マンホール。
2001/09/01

 
 突然だが、マンホールを思い浮かべてほしい。
 どうだろう、イメージできただろうか。
 あなたがイメージしたマンホールとはどんなものだろう。おそらく、茶色もしくは黒い、丸い鉄製のふた、を思い出したはずだ。あるいは、丸い鉄のふたが道路に点在している図かもしれない。

 しかしだ、そいつは、あくまでもマンホールの「ふた」であって、マンホールではない。マンホールとは、鉄製の丸い「ふた」の下にあるであろう、「穴」のことである。

 穴そのものをイメージした人はおそらくいないだろう。実際に、マンホールを見たことがある人も、そんなには、いないのではないだろうか。

 実は、オレも見たことがない。

 それなのに、何の疑いもなく、マンホールのふたの下には穴があると思っている。

 実際に見たことがないのに、穴があると信じて疑わない。微塵の疑問も感じない。我々はあまりにマンホールに対して無知だ。無頓着だ。根拠のない確信。これは非常に危険だ。 ひょっとしたら、穴など存在していないかも知れないのだ。国家の陰謀で「そう思い込まされているだけ」かも知れないのだ。

 マンホールのふたを開けると秘密基地があるかもしれない。
 エスパー伊東の家かもしれない。
 「マンホールのふたを開けると、そこは雪国だった。」かもしれない。
 いずれも、ないとは言い切れないのだ。オレたちは見て確認したわけではない。その可能性は否定できない。

 何が隠されているにせよ、何かを隠ぺいする方法としては、実に巧妙なやり口である。
 「これは穴だ。」と言われれば、誰も興味を示さないし、疑うことすら忘れてしまう。これが「非常ボタン」であったら、完全にダメだ。「非常ボタン」はとても魅力的で好奇心をそそる。
 「穴だと思い込ませることにしよう」と決めた奴は、恐ろしく頭が切れる。これはやはり国家機密だ。国家の陰謀だ。国家レベルとなると、やはりすごいことを考える。
 完全に裏をかかれた。
 よりにもよって「穴」とは。

 こんな風に、事実とは違うことが、常識として浸透している、あるいは信じ込まされていることが、他にも沢山あるはずである。

 自動販売機の中には、ちっちゃいオッサンが入っているかも。
 地球は四角いかも。
 猫は、本当は喋れるかも。

 高度に操作された情報社会なのだ、オレたちが生きているのは。本当に気をつけなければならない。

 オレって、本当は、空を自由に飛べるかも。

 いゃ、さすがにそれはないか。
 

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