ヒャクキン。
2001/10/06

 
 「ヒャクキン」と言う言葉を耳にした。
 同時に頭の中で「百禁」と漢字変換された。
 そして、クエスチョンマークが追加された。
 「百禁?」
 若干の処理時間の後、オレの脳は過去の日本語データバンクから語句の意味を次のように割り出した。

 「エロティック、もしくはバイオレンスチックなので、百歳以下の人は見てはいけません。」

 いや、実に興奮した。
 あまりの衝撃に、眩暈がした。そんなすごいものが、この世に存在したとは。
 一体、どんな代物なんだろう。百歳に達していない若造には、刺激が強すぎるものなのか、それとも、あまりに奥が深いので、百年ぐらいは人生観、洞察力、感性などを磨かないと理解できないものなのだろうか。

 いや、邪推はよそう。三歳の子供が、アンキモのおいしさを理解できないように、「百禁」はまだオレたちには早すぎるのだ。来るべき時が来なければ理解できない、そういう種類のものが、この世には存在するのだ。

 長生きはするものである。

 生きる希望が湧いてきた。

 どうせ、オレたちの時代には年金なんて貰えないし、地球だってボロボロだし、ダイオキシンやら環境ホルモンやら食品添加物に汚染されて、ろくな老後が待っているとは思っていなかった。
 「百禁」は、先の見えなかったオレたちの未来に光をもたらした。
 「百禁」は、夢と希望でオレたちを導いてくれる。
 生きることとは、希望を失わないことである。なんだか、気分が高揚してきた。とても晴れがましい気持ちになってきた。両手を広げて天を仰ぎ風を体中で受けて、今生きている命を確信している、そんな感じだ。

 「百禁」バンザイ。
 「百禁」最高。

 ああ、誰かつっこんでオレを止めてくれ。

 むやみに言葉を略すな。バカヤロー。
 

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