変身願望。
欲求が満たされない日常において、生じたストレスから逃避するために、自分とは違う何かに変身したい、という願望である。この願望が屈折して強く現れると、女装したり、コスプレに走ったり、セーラー服おじさんになったりする訳だ。
この変身願望、誰もが潜在的に持っている欲求だと言われている。
本当かよ。
じゃあ、オレにも変身願望があるって言うこと?
確かに、猫のヒゲをほっぺたにマジックで描いて、きゃあきゃあ言って遊ぶことがあるが。
いい年した大人が、ほっぺたに猫のヒゲを描いて遊ぶなんて、若い諸君は幻滅しているだろうが、大人なんて所詮こんなものである。参ったか。がはははは。
で、変身願望だ。猫ヒゲごっこが変身願望かと言えば、それはちょっと違う気がする。
今回は、潜在的に深層心理にある変身願望を探ってみよう。オレは何に変身したいのか。
うーむ。別に変身したくないけどな。
とりあえず、自動改札機にでも変身してみるか。
切符とか、定期券を口からパクッと食べて、お尻からプリッと出す。
次から次へとパクッ、プリッ。
セクシーなOLのお姉さんも、オレがパクッ、プリッとやった定期券を大切にカバンに入れ電車に乗る。サラリーマンのおっさんも、女子高生も、年よりも、子供も、オレがパクッ、プリッとやった切符や定期券を握り締めて電車に乗る訳だ。
がはははは。自動改札機って楽しい。
パクッ、プリッ。
自動販売機も面白そうだ。缶ジュースの自動販売機。
コインをパクッと食べて、ボタンを押してもらう。「いゃん。」ボタンは乳首だから。で、お尻から缶ジュースをポコッと出す。
パクッ、いゃん、ポコッ。
オレのお尻から、ポコッと出たジュースを、みんな美味そうに飲む。ゴクゴクゴク。
時々、注文とは違うものを出してみたりして。冷たいコーラの注文に、熱いポカリスウェットを出す。いゃ、こんなのでは面白くない、生きてるアメリカザリガニとか出しみたり。
「きゃぁっっっっっ。」
ぐふふふ。あははは。自動販売機も楽しいっ。
知りませんでした。変身がこんなに楽しいとは。セーラー服おじさん、今まで馬鹿にしてゴメンなさい。今日からオレも変身に目覚めます。
駅で、ひときわ光り輝く自動改札機があったら、オレだから。
パクッ、プリッ。
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