桜の果実をサクランボと言う。
「何だ、ンボとは。」と疑問に思いませんか。いとうけんじ、物知りだから、ンボのことだって知ってます。ンボのことなら、オレに聞け。
桜の子供だから、「桜ん坊」(さくらんぼう)。
いつの間にか「う」が取れてしまって、サクランボ。
ちなみに、つくしんぼも同じ言葉の成り立ちをしている。つくしとは、早春に出るスギナの胞子茎のことだが、可愛らしいその姿に親しみを込めて、つくしの坊や、「つくしん坊」と呼んだ訳だ。
じゃあアメンボも同じじゃないのか。雨が降った後に水たまりに現れる虫を、雨の子供、「雨ん坊」と呼んだんでしょ、と思ったら違った。飴の匂いがするから「飴ん棒」が語源だそうで。坊ではなくて棒でした。
坊も棒もンボならば、男性器を意味する幼児語「ちんぼ」は、棒の方でしょ、珍棒が語源なんでしょ、ムフッ。と思ったら、またまた違った。ちんぼの語源は、珍鉾だそうで。ちんぼこと読みます。鉾という武器をモチーフにした言葉だった。
ん、まぁ、武器と言えば武器だな、これは。
いやぁ、ンボにも色々あるんですね。どうだ、勉強になったろう。
ンボ。何だか響きの良い音ですな。
声に出して言ってみよう。ンボ。
何かの挨拶みたいだね。ンボ。
道で知り合いに出会ったときは、片手を挙げて、ンボ。相手も微笑んで、ンボ。
朝礼の時、社長が片手を挙げて、ンボ。そのあと、社員全員が片手を挙げて、ンボ。
「すみませーん、ボール取ってくださーいっ。ありがとうございましたーっ。」って場面では、さりげなくクールに、ンボ。
体育会系の挨拶は、力強く、「ンボっす。」
警察官に職務質問されて、答えたくない時には、とぼけた顔して、「ンボ?」
不良に絡まれた時には、「ンっっっっっっっ、ボっ」とやるといい。
ンっっっっっっっ、の部分は、うんこの時に力む時のあの感じで。力を込めて顔をしかめて、顔を左右に細かく振って、ほっぺたをプルプルさせながら。
ボっ、の部分は、びっくりした時の呆けた顔で、目を丸く見開いて。
ンっっっっっっっ、ボっ。
この際だから、いろいろな名詞の語尾に、「ンボ」を付けてみよう。
バナナとンボで、バナナンボ。こんな名前のデザートがあってもおかしくない。
「デザートは、ミルフィーユとバナナンボが用意してございますが、どちらになさいますか。」
「じゃ、バナナンボで。」
「かしこまりました。バナナンボですね。」
モバイルとンボで、モバイルンボ。
おおっ、カッコいい。ポップな感じだね。
パソコンは、パソコンボ。
めちゃめちゃ頑丈な感じだ。パソコンボ、落としても壊れません。
車はクルマンボ。
宇宙時代の乗り物、クルマンボっ。陽気な乗り物、クルマンボっ。
コアラは、コアランボ。
オーストラリアの首都はコアランボ。
いや、むしろコアランボ刑事か。
ンボ。
みんなで流行らせませんか。
みんなで目指しませんか。
流行語大賞。
ンボっ。
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