風物詩。
2003/09/10

 
 ふと気付くと、涼しげな秋の虫たちの鳴き声が、家を包み込んでいた。

 あ、秋が来ているな。

 去年、東京の高層マンションに住んでいる友人が、我が家に遊びに来た時、この虫の音に感動していたっけな。オレにとっては、まったく気にも留めない虫の音。せっかく良い環境に住んでいても、日常の中でその事に気付かない自分。幸せと言うものは、慣れと共に、埋没してしまう危険性を持っているのだな。
 今年は、いつ頃から、こうして鳴いていたんだろう。

 よし。明日は虫の音を聞きながら一杯やるか。
 もし良かったらご一緒にどうですか。
 茶室に花を生けてお待ちしています。

 ふと思ったのだが、虫の声そのものが涼しげなのか、夏の暑さも和らいだこの季節にいつも聞こえるから、パブロフの犬みたく涼しさを感じるのか。
 一体どっちなんだ。

 いとうけんじ、後の説を支持します。パブロフ派です。
 秋の夜長、毎年ウシガエルが鳴いていれば、人はウシガエルの声に過ぎ行く季節の哀愁を感じるに違いない。毎年同じ時期に同じサウンドを聞くうちに、サウンドから季節を感じるようになっているだけなのだと思う。

 ならば。
 秋の夜長に、毎晩、いとうけんじが夜通し雄たけびはを上げれば、いずれ、いとうけんじの雄たけびは、秋の風物詩となるに違いない。

 あら、いとうけんじの雄たけびが聞こえるわよ。
 そうだね、もうそんな季節なんだね。
 そろそろ、風鈴しまいましょうか。
 いゃ、何だか寂しいから、もう少し出しておこうよ。

 いやはや。なかなか風流ではないか。
 さて、早速今晩から始めますかな。雄たけび。

 ウーリャリャリャ。オリャ、オリャ、オリャ。

 秋の夜長にこだまする、いとうけんじの雄たけび。いやはや、なかなか風流ですな。
 

Produced by 110kz.com

Sponsor Site