ハードボイルドなイトウケンジ。
登山などもする。
ハードボイルドなイトウケンジ。
登りも下りも、めちゃめちゃ早い。
別のパーティーが、のんびり登山していると追いついてしまう。
よっしゃ。始めますか。
「先生、大発見でしたね。」
ああ。こんなところで人類の起源となる猿人の化石が出るとは。
「これを公表すると、どうなるんですか。」
世界がひっくり返るだろうな。
「今まで見つかっている猿人は、いずれも人の先祖ではないですものね。」
ああ。明日の朝刊にバッチリ書いてくれよ。
博士と、新聞記者ゴッコだ。
前を歩いていた50代ぐらいの男女のパーティーから、会話が消える。
明らかに、オレたちの会話に聞き耳を立てている。
まじでぇー。すげー。とか思っているに違いない。
うっひゃっひゃ。
他に、
殺人事件の犯人を追って、山小屋に向かう刑事ゴッコとか、
ドックショーのチャンピオン犬を鍛えるため、山に来たブリーダーごっことか。
犬は、別にいなくても大丈夫。
「おいでー。何やってるのっ。ピーピー。」
と口笛を吹くだけで、犬がいると思い込んでくれる。
山に登る時、山の地形やルート、予想される天気など、事前に調べておくことは沢山ある。その山に生息している植物や動物、その時期に咲く花の種類を調べておくのも、登山の楽しみをふやしてくれるだろう。
しかし、それよりもだ。
ネタだな。
大事なのは。
何ゴッコをするかを決めたら、それが真に迫るよう勉強をする。もう徹底的に。
地質学者になると決めたら、地層学を。
獣医になると決めたら、動物解剖学を。
トレジャーハンターになると決めたら、埋蔵金伝説を。
ちなみに、台詞は全てアドリブだ。
オレたちの話に聞き耳を立てていた人達が、
オレたちが立ち去った後、「ねぇねぇ、聞いたー?」と始める姿や、翌朝の朝刊をワクワクしながら広げる姿を、想像するだけで。
もぅ、うっひゃっひゃっ。
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