ベイビーは喋れない。当然だけど。
まずは、アーとか、ウーとか声を出すようになり、次に声を出しながら口を開けたり閉じたりするようになる。この時、自然にMの発音になる。
マンマンマンマン、アーム、ウーム。
それまで、アーとか、ウーとか、オギャーと泣くだけしか出来なかったベイビーが、言葉っぽい発音をするものだから、大人は、「わわわわっ、喋ったわっ。」と勝手に大喜びするわけである。
「じゃあ、ベイビーは何と言っているのだろう。」と考えたあげくたどり着いた結論が、
「お母さんを呼んでいるのねぇっ。このカワイコちゃんっ。」
だから母親は「ママ」なのだ。ベイビーは母親を呼んでいると解釈したわけだ。
英語では、 ママ。
フランス語 ママン。
イタリア語 マンマ。
スペイン語 ママー。
ギリシャ語 マンメー。
ロシア語 マーマ。
中国語 マー。
いずれも母親を指す言葉であり、ベイビーの初めての発音が語源である。
では日本はどうか。
日本人はなぜか、「あらっ。おなかがすいたのねっ。何か食べたいのねぇっ。このカワイコちゃんっ。」と解釈した。だから、赤ちゃん用語で飯の事を「マンマ」と言うのだ。
多くの民族が、ベイビーが母親を呼んでいると解釈したのに、なぜ日本は、メシなんだ。親子の愛より、まずはメシ。何だか日本人の品位と言うものを疑ってしまう。
このベイビーの最初の発音が語源となっていると思われるものが、実は、もう一つある。
宗教の祈りの言葉だ。
仏教では南無。これはサンスクリット語だ。ナムもしくはナームと発音する。
ヒンズー教では、オーム。
キリスト教では、アーメン。
イスラム教では、アッラー。
まったく違う様々な宗教でも、祈りの言葉はことごとく似ている。このことを、生命エネルギーに込められた言葉だの、宇宙人が残した言葉だの、何やら訳の分からん神秘的な話に結び付けたがる人が多いが、オレはベイビーの初めての発音が語源だと思う。
つーか、間違いないでしょ。
いとうけんじが正しい。
「麗しいベイビーちゃんは、一番最初に神に祈りを捧げているのよ。」
と宗教家たちは解釈した。それだけの事だ。
ベイビーちゃんは、声を出して口を開けたり閉じたりしているだけで、その際に発声される言葉に意味なんてない。勝手な大人が自分勝手に解釈しているだけ。
まったく。
大人って、大人って。
あら、我が家のベイビーちゃんも、喋ったぜっ。ややや。これは。間違いない。オレの目を見つめて、オレを呼んでいる。ベイビーがオレを呼んだぞーっ。
しかし。
おぃ、ベイビー。間違えてるぞ。オレはダディーだぞ。ウーィじゃないぞ。
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