変化。
2004/03/30


 我が家のベイビー、誰かに見せる度に「大きくなったネェ。この間とは別人みたい。」と言われる。会う度に、ベイビーの姿は変化していて、その成長ぶりは驚異的らしい。
 しかし毎日一緒にいるオレにとっては、いつも変わらないオレのベイビー。毎度おなじみの、ちっこくてカワイイ坊だ。
 「そんなにでかくなっているかな。前とそんなに変わっていない気がするけどな。」

 毎日、少しずつ変化しているものは、その変化を認識しにくいと言うことだ。
 毎日顔を合わせる人の、髪の毛の長さとか、太ったり痩せたりの体形の変化とか、背の高さとか。たまに会う人の変化は敏感に気付くのだが、いつも一緒にいる人のそれは、なかなか認識できない。

 つまり、毎日少しずつ変化していけば、誰にも気付かれずに変身する事が可能だと言う事だ。それを熟知した上で、ビジネスにしたのが、増毛。

 「あれ、カワイさんって、昔ハゲてたよねぇ。」
 「えっ?そうだっけ。ずっと、あんな感じだった気がするけど。」

 まんまと、思うツボだ。

 別にビジネスに結びつかなくてもいいから、オレも変身してみたいぞ。その限界を試してみたい。どの程度までの変身なら、誰にも気付かれずに成し遂げられるだろうか。

 緑人。
 肌が緑なんです。少しずつ、少しずつ、肌を緑色にしていって、アマガエル並みの、鮮やかな緑の肌の男になってみる。これは、うまくいきそうだ。
 「そういえば、イトウさんって、緑ですね。」
 「いつも一緒にいると、気にならないですけど。」
 「でも、よく考えると変わってますよね。」

 ゼブラ人。
 肌がシマシマなんです。これもうまくいきそうだ。
 「イトウさんみたいな模様の馬、いますよね。」
 「あー、いるいる。アフリカにね。」
 「イトウさん、アフリカ行ったら仲間と思われちゃいますよ。」

 こんな感じで、誰にも気付かれないように少しずつ変身した後のオレを、何の疑問もなく、社会が受け入れてくれたら、何だか楽しい。

 あっ、そうか。そういう作戦だったのか。
 日本とハワイが、少しずつ近づいてきているらしいが、こっそり、知らない間に、日本を南国にするという魂胆だったんだな。気が付いたら、日本がハワイなんですよ。
 「あれ?日本て、トロピカルな国でしたっけ。」
 「あー、言われてみると違う気もするけど、どうでもイイや。」
 「そうだね、どうでもイイね。アロハーっ。」

 オレにしてみれば、明日からいきなりハワイでもいいんだけどな。
 でも、それでは変化に弱い年配の人には刺激が強いからね。少しずつ、少しずつ、ハワイに慣れていった方がいいかもね。 

 えっ、日本が南下してるんじゃなくて、ハワイが北上してるの?

 日本がハワイになるんじゃなくて、ハワイが日本になるの?

 なんだよ。つまんないの。
 

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