シュレッダー。
2004/09/21

 
 我が職場では、個人情報データや重要機密データを取り扱うため、巨大なシュレッダーが設置されている。その威力はすごくて、大量の紙をあっという間に木っ端微塵にする。一度粉々にされた紙は、どう努力しても復元不能。機密は完全に守られる。オマケに投入口に紙を持っていくだけで、自動的に電源が入って作業を始めるという優れもの。

 ガー。

 おお、こいつはすごいな。
 中を覗き込むと、いかにも強靭で凶暴そうな粉砕装置が見える。これだけ獰猛な装置なら、紙以外も破壊できるんじゃないか。よし。鉛筆入れてみよ。

 ガー。
 木っ端微塵。

 ボールペンでもイケるんちゃう?

 ガー。
 木っ端微塵。

 フロッピーディスクとか、CDロムとか、一通り身の回りのものを粉砕してみた。全て木っ端微塵。機密は完全に守られた。

 うーむ。楽しいぞ。

 これ、負の吸引力というか、人を虜にする魅力を持っている。ものすごく高い場所に立った時や、一瞬にして数トンもの圧力でプレスする機械の中で、人が点検作業をしている所に居合わせた時に、感じる吸引力と同質なものだ。
 ここから飛び降りたらどうなるんだろう。
 今、プレス機のスイッチ押したらどうなるんだろう。

 どうなるって、結果は分かりきっているし、そんな恐ろしいことは絶対に出来ない。しかし、悪魔のような吸引力でそっちの方向に引き寄せられそうな、そんな眩暈にも似た感情が、ふわっと沸く時がある。

 このシュレッダーに、札束を突っ込んだらどうなるんだろう。

 いゃ、分かってます。分かってますから。お札が粉々になるだけですよね。そんなことは分かってるんですよ。分かってるんですけどね、どうなるんだろう。

 うわー、入れてみたい。

 オレ、日常的に数百万円程度の現金なら普通に扱ってるんですけどね。入れようと思ったら出来るんですけど。めっちゃ簡単なことなんですよ。シュレッダーの上で手を離すだけ。こう、指でつまんでね、それで、ほんのちょっと力抜くだけなんですけど。

 うわー。すっげーやってみたい。
 きゃー。きゃー。きゃー。

 やっとの思いで、その欲求を抑えた。
 ふぅ。現代社会は、ストレスが多いですわ。ホント。
 

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