何かを得るためには、何かを失わなければならない。それが世界の摂理だ。
 高3の夏のインターハイ、代表の座と引き換えに友達を失った。東京の大学への進学は、恋人との別れと引き換えだった。会社の採用通知が届いた日、飼っていた猫がいなくなった。 望むと望まざるにかかわらず、人生は、何かを得ることと失うことの繰り返しだ。
 この度胸だめしも同じ。
 あなたは更なるスリルを求めた。
 好奇心を満たすのと引き換えに、いま、この瞬間、あなたは大切な何かを失っている。
 たとえば、私が記した文字の数だけ、
 あなたのスマホの中の連絡先のデータが消える、とか。 (ここまでで278文字)